旧日鉄呉跡地(日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区跡地)の利用に関する動向

防衛省による「多機能な複合防衛拠点」としての整備に向けて大きく動いています。2025年中に行われた重要な決定により、事実上、民間主導ではなく「国の防衛拠点」+「関連産業誘致」という形での活用が確定路線となっています。

1. 2026.1月時点のステータス:売買の合意と取得へ

最も大きな動きは、昨年(2025年)夏に土地の売買に関する基本合意がなされたことです。

  • 基本合意(2025年7月): 防衛省と日本製鉄の間で、跡地(約130ヘクタール)の売買契約締結に向けた基本事項の合意が発表されました。
  • 現状(2026年1月時点): 正式な契約締結と用地取得に向けた手続きが加速しており、更地化されたエリアから順次、防衛省側への引き渡し準備が進められています。

2. 決定した「多機能な複合防衛拠点」の中身

防衛省が提示し、呉市および広島県が受け入れた整備計画(ゾーニング案)の概要は以下の通りです。単なる自衛隊の駐屯地ではなく、民間企業も入る「複合施設」となる点が特徴です。

  • ① 防衛機能エリア(中核):
    • 艦艇の補給・維持整備機能
    • 装備品の製造・整備基盤
    • 訓練場、ヘリポート
    • 港湾施設: 大型艦船が接岸可能な岸壁整備(南西諸島方面への輸送拠点化)
  • ② 産業機能エリア(民間誘致):
    • 防衛産業に関連する民間企業の工場や整備場を誘致(地元企業の参画も想定)。
  • ③ 防災・市民交流エリア:
    • 大規模災害時の防災拠点機能。
    • 市民が利用可能なスポーツ施設(グラウンド、体育館等)の整備。

3. 予算とスケジュールの動向

  • 予算措置: 2025年度予算での調査費計上に続き、2026年度(令和8年度)予算案および補正予算においても、用地取得費や初期整備費として数百億円規模の予算が計上される見通しです(一部報道では初期段階で約100億円規模の動きあり)。
  • 完了目標: 全体完成はまだ先ですが、一部機能(港湾や補給機能)については、早期運用開始を目指して工事が急ピッチで進むと見られます。

4. 地元の反応と課題

  • 呉市の受け入れ: 2025年5月、呉市の新原市長は「雇用の維持・創出、地域経済への効果」を理由に、防衛省案の受け入れを正式に表明しました。
  • 懸念・反対の声: 市民団体や一部政党からは、「戦争の拠点になることへの懸念(攻撃目標化)」や「説明不足」を理由とした反対運動が継続しています。特に、巨大な火薬庫的機能が含まれるかどうかが、周辺住民の大きな関心事となっています(防衛省は「火薬庫を主たる目的とはしない」と説明しています)。

まとめ

旧日鉄呉跡地は、「製鉄の街」のシンボルから、日本の「兵站(ロジスティクス)と防衛産業の心臓部」へと生まれ変わるプロセスの真っただ中にあります。2026年は、計画段階から実際の「取得・整備」へとフェーズが移る重要な1年となります。

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