2026年(令和8年度)予算案における、熊本港の「特定利用港湾」としての整備に関連する予算の内訳と詳細について解説します。
防衛省予算そのものではなく、国土交通省の港湾整備事業予算(公共インフラ整備)の枠組みの中で、約29億円が計上されています。
1. 予算額と主な内訳
政府案(令和8年度予算)における熊本港関連の「総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備」としての配分は以下の通りです。
- 総額:約29億円(29億円前後)
- 主な工種・内訳:
- 防波堤の建設・改良: 台風や高波時でも自衛隊艦艇や大型輸送船が安全に入出港・荷役ができるよう、港内の静穏度を高めるための外郭施設の整備。
- 岸壁の整備・機能強化: 大型輸送艦(「おおすみ」型など)や民間フェリーが接岸できるよう、岸壁の耐震化および水深確保のための整備。
※補足: この予算は、前年(2025年)夏に熊本港が「特定利用港湾」に指定されたことを受け、平時の物流機能強化と有事の自衛隊利用を両立する「デュアルユース(軍民両用)」事業として計上されています。
2. 整備の背景と目的
熊本港への予算配分には、単なる港湾整備以上の戦略的な意図があります。
- 陸自機動師団の展開拠点:熊本には、有事の際に南西諸島(沖縄方面)へ緊急展開する陸上自衛隊 第8師団(北熊本駐屯地)が所在しています。熊本港は、この第8師団の車両や人員を、民間フェリーや自衛隊輸送艦に積み込んで送り出すための「主要な出撃・輸送ゲートウェイ」と位置づけられています。
- 水深と岸壁の課題解消:熊本港は有明海の干潟に位置するため水深が浅く、大型艦艇の入港に制約がありました。今回の予算による整備(浚渫や岸壁延伸)は、これらの大型船舶が満潮時以外でも円滑に運用できるようにする狙いがあります。
3. 他の地域との比較
令和8年度予算では、九州・南西地域の他の港湾にも同様の予算がついていますが、熊本港の約29億円は、兵站・輸送拠点としての重要性を反映した比較的大きな規模となっています(参考:鹿児島県の川内港や西之表港等は28億円規模)。
この整備により、熊本港は平時は物流・観光(クルーズ船等)に利用されつつ、有事の際は「九州から南西諸島への兵站パイプライン」の始点としての機能が強化されることになります。

