2026「防衛」予算・静岡

 2026年度(令和8年度)の防衛予算案は、政府の「防衛力整備計画」の4年目にあたり、総額約9兆円規模という過去最大の予算が編成されています。静岡県は、陸上自衛隊の「教育・訓練のメッカ」である富士地域や、航空自衛隊の重要拠点である浜松・静浜基地を擁しており、日本の防衛戦略において「中枢的な兵站・訓練拠点から、対艦打撃能力を備えた戦略的拠点」へと変貌を遂げようとしています。

2026年度 静岡県防衛予算・事業分析

 ① 静岡県全体の概要・特徴

 静岡県は、東名・新東名高速道路や新幹線が通る「日本の背骨」であり、東西を結ぶ物流・交通の要衝です。防衛面では、広大な富士原野(東富士・北富士演習場)を活用した国内最大級の演習・教育拠点であることが最大の特徴です。2026年度は、これまでの「後方支援・教育」の役割に加え、「スタンド・オフ防衛能力(長射程ミサイル)」の配備・運用拠点としての重要性が飛躍的に高まっています。

 ② 駐屯地・基地への予算配分と内訳

 静岡県関連の予算は、単なる維持費だけでなく、「施設の強靭化」と「新型装備の導入」に重点配分されています。

  施設強靭化関連(県内全体で約158億円以上): 司令部の地下化、建物の耐震・防護化、弾薬庫の増設。

  教育・研究費(富士駐屯地・富士学校): 新技術(無人機・電子戦)を取り入れた訓練教本作成やシミュレーター導入。

  装備品取得費(駒門・板妻等): 24式機動120mm迫撃砲、25式偵察警戒車などの最新車両の集中配備。

 ③ それぞれの駐屯地や基地の変化

拠点名2026年度の主な変化
富士駐屯地(富士学校)陸自の「頭脳」として、新型ミサイルや無人機(UAV)の運用研究を加速。電子戦対応の教場整備が進みます。
駒門駐屯地最新の機動戦闘車や25式偵察警戒車が配備され、機動力に特化した**「即応展開」の要**としての機能が強化。
板妻・滝ヶ原駐屯地隊舎の老朽化対策(個室化)が進み、隊員の生活環境が改善。同時に、小規模部隊の分散移動訓練が活発化。
浜松基地(空自)AWACS(早期警戒管制機)の維持整備に加え、**「電磁波戦」**の教育訓練機能が強化。主要司令部の抗堪性向上工事が進展。
静浜基地(空自)初等操縦教育の継続に加え、災害時の空輸中継拠点としての強靭化が進みます。

 ④ 静岡県全体としての変化

 静岡県は「学ぶ場所」から「戦う能力を常に保持する場所」へと変化します。

 特に2026年度から順次開始される「12式地対艦誘導弾能力向上型」の配備により、静岡から周辺海域を睨む打撃能力が備わります。これにより、有事の際に狙われにくいよう、部隊を演習場内に分散配置する「抗堪性(こうたんせい)」を重視した運用へとシフトします。

 ⑤ 新規事業

1. スタンド・オフ防衛能力の社会実装: 長射程ミサイルを扱う部隊の訓練が富士地域で本格化します。

2. 無人アセットによる沿岸防衛構想(SHIELD): 駿河湾等での無人機活用を想定した試験的訓練予算が含まれています。

3. 自衛官の処遇改善(生活基盤整備): 静岡県内の古い隊舎を大幅にリニューアルし、Wi-Fi完備や個室化を進める予算が重点的に組まれています。

 ⑥ 他の地域とのかかわり

 静岡県は「南西諸島(沖縄・九州)への兵站(へいたん)ベース」としての役割が強まります。

 富士地域で訓練を受けた最新鋭の部隊や装備が、そのまま南西方面へ展開する流れが確立されます。また、米軍キャンプ富士(御殿場)との連携も強化され、日米共同での長射程ミサイル運用訓練の検討も進められています。

 ⑦ 県民が被る影響

 経済的影響: 基地改修や弾薬庫建設に伴う地元建設業への発注、および隊員の生活圏における消費拡大。

 安全保障上の懸念: ミサイル拠点化に伴い、有事の際の「攻撃対象」となるリスクへの不安が住民の間で高まる可能性があります。

 交通・騒音: 最新車両の公道移動や、演習場での訓練激化に伴う振動・騒音問題が継続的な課題となります。

 防災協力: 基地の強靭化(自家発電や給水機能強化)により、大規模災害時の地域支援能力は向上します。

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